少し恥ずかしいですが、さんぽ工房の成り立ちについてお話します。
自分の情熱との対立
私はものごとにはまりやすく、はまってしまうと四六時中そのことを考えてしまう性格です。
今でも好きなのですが、バンドにはまった時にはCDを買いあさり、雑誌も全て購入して、テレビやFMの放送のチェックに勤しみといった具合です。
学生時代は、ずっと吹奏楽部に所属していたので、学校に行くというより、部活をしに学校に行っているぐらい楽器を演奏することに夢中になって情熱を傾けてきました。
その情熱を勉強に傾けられればよかったのですが^^;
自分が何かに夢中になってしまうと、そちらに傾ける情熱の熱量が半端なくなってしまうことは自分でも自認しています。
また、旅行に行ったり、美術館に行くことも好きです。
旅先や美術館に行くとお土産屋さんや、街中にあるカードスタンド、ミュージアムショップに魅力的な品物がたくさんならんでいます。
そこで重くならず、保管も容易なポストカードを購入します。
ポストカードは写真だったり、絵画だったり、特に旅先では、その土地ならではの物を購入します。
また、写真撮影も好きです。
自分自身を撮影することは好きではないので、自撮りや、旅先での自分を撮影することはほぼなく、旅行中に1枚か2枚ぐらい撮るぐらいですが、珍しい風景や道にあるオブジェなど目に止まったものをどんどん撮影するので、3日の旅でも2000枚ぐらい撮影してしまいます。
風景に人が映り込むことは好きなので、見知らぬ方が入った写真や一緒に旅行した人の写真はあります。
人が映り込むのが好きなのは、
なぜなら、建物や景色がリアルになって、行った時の時代や季節を感じれるからです。
最近は、頻繁にはしていませんが、撮影した写真をプリントアウトして、アルバムに収めることも好きで、写真を見ては旅の思い出に浸っていました。
さて、旅先でのポストカード購入や写真のプリントアウトなど、「紙媒体」が自分は好きだという自認はありました。
しかし、はまったらきっと「紙沼」にはまってしまう。と自分をセーブしてきました。
何かにつけ、はまりやすい自分のことです。自分で自分に警戒していたのです。それも長い間。
写真のプリントアウトですが、
写真を自分でプリントアウトするだけではなく、「何か素敵なポストカードのような形に出来ないかな?」と考えるようになりました。
そこで、たまたまニュースで知った「代官山の蔦屋にいるブックコンシェルジェさんに相談すると色々な本を提案してくれるらしい」という情報から
代官山の蔦屋に行きブックコンシェルジェさんに相談してみました。
「写真を撮って自分で印刷しているのですが、もうちょっとおしゃれなポストカードのような感じに加工したりする方法はないかなと思い本を探している」と伝えました。
そこで、紹介された本は5冊ほどあり、写真の専門的な書籍や雑誌がありました。
その中に、写真とは全く関係ない「活版印刷の本」があったのです。
海外での活版印刷の作品がまとまった本が日本語に訳された本でした。
(このブログのトップに紹介されている書籍です)
『世界の活版印刷グラフィック・コレクション シャーロット・リバース/著 仲田由美子/訳』
魅力的な活版印刷の作品が並んでいます。
表現は古いですが、ページをめくった途端「びびっと来て、雷が走ったような衝撃」を受けました。
「これは自分が求めていた物だ。こんなに素敵な作品があるなんて」。
少し予算オーバーでしたが、本との出会いは一期一会。
購入を即断しました。
どのページを見ても、色合い、凹凸感、デザイン、自分にドンピシャ「はぁ素敵すぎる」とため息が出るとともに「これはハマるな」との予感がしました。
しかし「ハマったらこれは深い沼に行くな。どうしよう」との思いもあります。
でも、思ったのです、
「人生一度きり、好きなことにはまってもいいのでは?」
自分で自分のリミッターを外してみることにしました。
リミッターを外してみた
自分自身でリミッターを外してみると、もう止まりません。
早速、色々調べてみると、なんと幸運なことに、数日後に活版印刷が大々的に体験できるイベントがあるとのこと、
即決で決断して行ってみました。家から2時間近くかかる上、全く見知らぬイベントですが、「体験できる貴重な機会を逃す手はない」と考えているので、全く苦になりません。
さて会場に一番乗りで到着し、まだ、準備の終わっていないブースで体験をさせていただくのを待っていました。
準備の様子を拝見させていただくのも非常に楽しいです。
実際に体験させていただくと、活版印刷機のレバーを下げて印刷をするという活版印刷の流れでいうと、本当に一箇所の作業なのですが、体験をさせていただきました。
自分の手で印刷したものが作品になる楽しさ。
発色や、活版印刷独特の凹凸感。手触り。
感動して、胸がいっぱいになりすぎて、ご飯が食べれないほどでした。
それほどに、印刷が魅力的なことだったのです。(普段は、食いしん坊で食べることに貪欲な私です)
調べてみると、活版印刷ではないのですが、ダイカットマシーンという本来は特定の形に紙を切り出すマシーンでも簡易的な印刷ができることがわかりました。
しかし、簡単に手に入る様子がなく、あちこち探し回ってやっと手に入れました。
印刷しているととても楽しい。
インキにまみれながら自分の作品が出来上がる楽しみ。
普段している仕事がSEという仕事ゆえ、成果物が目に見えて手に取れる仕事ではなかったこともあり、
手にとって成果物が出来上がることにも喜びを感じていました。
しかし、やはり簡易的な活版印刷もどきなので、本当の活版印刷とは違います。
そこで本格的な活版印刷をしてみたいと思い調べていると、
活版印刷を専門的に教えてくれる学校があることがわかりました。
活版印刷関連を調べていると必ずたどり着くところです。
こちらも、運良く学校で外部向けのイベント開催があり、
実際に入校する前に様子を伺うことができました。
そこでイベントに行って見ると、見ず知らずの私に惜しげも無く技術を見せてくれて、
相談にものってくださいました。
押し売る感じも全くありません。
自分が技術者の端くれとして働いている為、人の技術力を見抜く力は備わっていると思うのですが、
「この先生につけば間違いなという確信」を覚え、学校に入校することになりました。
こうして、文章にしてみると、何もかもがタイミングよくやってきたように思います。
チャンスを掴む・やりたいと思った時がチャンス
私は自分の本能とも呼べるような自分の中から突き上げるような衝動のままに動いてきましたが、
「次回を待てばいいや」といった考えや「ちょっと行ってみるのは不安だな」と
及び腰になっていたら、新しい世界は開けてきませんでした。
次回はいつかやってくるかもしれません。
でも、どうせやるなら、早く新しい世界を手に入れて日々を楽しく過ごした方が良い。
私は、自分が躊躇していたリミッターを外したら新しい世界がぐっと広がり、
目の前には今まで見たことのない景色が広がっていました。
だれしも、新しいことに挑戦するのは、勇気がいります。
時には失敗したり、がっかりする経験もあるかもしれません。
でも、失敗しても、「今回は合わなかったな。他の合うところを探そう」と次の探検に
行けばいいと思います。
このような経験をしながら、私は作品創りに臨んでいます。
「だめだったら、できるようになる何かの方法を探そう」は私の根底に流れているものです。
そして、妥協はしません。
「これぐらいでいいや」は世に発表しません。
胸を張って「みなさん見てください。」と言えるもののみを発表しています。
そんな私が作成している作品はminneとCreemaで販売しています。
ぜひ見にきてください。
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